虎、学生をしかる

夕方の三田キャンパスにて。
講義終了後、生協へと向かう途中で異様な光景を目の当たりにした。
虎が体育会学生を相手にどなっていたのである。


体育会部室棟の入り口付近に学生服を着た学生が横一列に整列していた。その数は10人くらいだったと思う。
これは何事かと思って見てみると、学生たちの列の前を、虎と牛(の着ぐるみを着た男たち)が何度も往復している。
細くて長い木製の棒を持っていて、時々大きな声で学生に向かってどなりつける。
「お前ら、本当にわかってのか!!!」
虎と牛に怒鳴られた学生たちの顔は強張っている。怒鳴っている相手が虎と牛であるにも関わらずだ。私にはコントのようにしか思えなかったが、学生たちの顔は、まさに真剣そのもの。というよりは虎と牛に本当にびびっているようにも見える。


虎はしばらくうろうろと歩き回っていたのだが、突然学生一人ひとりに対して尋問を始めた。
虎が何て言っているのか、離れて観察していた私の耳には聞こえなかった。しかし、虎の尋問に対して学生は大声で返答していた。
「虎の虎ちゃんでございます!」
「虎ちゃんは、毛並みが美しいでのであります!」
虎は満足したのだろうか、隣の学生へとターゲットを変えた。
そして再び虎は学生に何か言っている。それに対して学生はやっぱり
「虎の虎ちゃんでございます!」
と言う。わけわかめである。
相手を変えつつ、同じような問答が何度も繰り返された。
最初は「こりゃ絶対にコントに違いない」とか「三田祭イベントの打ち合わせかだろう」と思っていた。ところが、それにしては学生からは少しも笑顔が見られない。


途中でちょっと飽きてきたので帰ってしまったが、一体あれは何だったんだろう。