すけこまし

三条高校陸上競技部中長距離ブロックで苦楽をともにした後輩が東京に遊びに来た。
彼は新潟大学農学部の3年生。植生に関心があって、最近はランドスケープにも興味を持ち始めているらしい。
約3年ぶりに会う彼を一日ガイドをすることになった。
まず集合したのは渋谷駅のハチ公前。前評判とは異なり、外見はあまり高校時代と変わっていない。昔のやつはダメージパンツなんぞは履くようなタイプではなかったが。
さて、「cafe du copain」でコーヒーを一杯飲んで、表参道へ。面白かったのが、街を歩くときのやつの視点だ。彼の大学の専攻と重なるわけだが、道路の植樹に感動しはじめる。
私にしてみれば、彼が指摘するまで、目には植樹など入ってこなかった。
関心や視点も持ちようで、街はまったく違く見えるのだなと改めて思う。だからこそ、異なる学問分野を専攻している人と街を歩くのは楽しい。
竹下通りを経由して、原宿駅へ。歌舞伎町好きとしては、新宿を案内するしかないと思い、JRに乗車。山手線で新宿へ。
その後、歌舞伎町を歩き、そのまま新大久保までまわって、新宿駅に戻る。
さすがに運動不足の自分は、ここらできつくなってきた。大学に入った後も定期的に走りつづけた彼からは、あまり疲れた様子は見られない。それを見て、ややへこむ。
小田急線に乗って下北へ(本当は、代々木上原で降りて東京ジャーミーを案内してあげたかった。けど、体力的にしんどかったので、そのコースはすっとばす)。
街を多少散策した後、カフェで一休み。普段、新潟のスターバックスでアルバイトをしている彼にとっては、私と同様、カフェめぐりは趣味の一つであるらしい。
思わぬところで趣味が合うことが判明。高校時代から考えれば、まったく予想だにしなかったことだ。
その後、陸上部の友達の待つ平山城址公園前へ移動。さすがは日野市。遠すぎ。
友達の家を借りて、家飲み開始。途中から短距離ブロックだった某銀行内定者も参加し、一同わけのわからぬハイテンションに。「越野寒梅」を×ゲーム一気のみという、恐ろしく罰当たりなことをやった。×ゲームであっても、やっぱり寒梅はうまかった。
気が付いたら眠っていた。二日酔いだ。頭が痛すぎる。気持ち悪い。
9時10分に友達の家を出る。
最後に、新宿へと向かう京王線に揺られながら、新潟から出てきた彼と会話。といっても、お互いにグロッキーであまり会話は弾まない。
明大前に到着して、ふらふらになりながら、お別れの挨拶。
「これ以上、すけこましになるなよ」
こうして、すけこまし君は新潟へと帰っていった。