la cigale et la fourmi

nababy2004-03-03

ラ・フォンテーヌ「セミとアリ」(今野一雄訳)

夏のあいだずっと/歌をうたっていたセミは、
北風が吹いてくると/ひどく困ってしまった。
ハエや小さな虫の/かけらひとつみつからない。
おなかがすいてたまらないので、
近所のアリのうちへいって、
春になるまで食いつなぐため、
穀物を少々/貸して、と頼む。
「取り入れまえに、きっと、
元利そろえて/お返しします」
アリは貸すことを好まない。
貸すなんて、そんな不徳はもちあわせない。
「暑い季節はなにしていたの」
アリは借り手のセミに聞く。
「夜も昼も、みなさんのために、
歌をうたっていましたの。すみません」
「歌をうたって?そりゃけっこうな。
それじゃこんどは、踊りなさいよ」